電脳マヴォ・スタッフBLOG:小形克宏:

日本マンガ翻訳版での注意書きについて(1)

ただ今、電脳マヴォでは契約作品の翻訳出版をすすめています(機が熟したら、ここでお知らせします!)。そこで痛感させられたのが、いかに自分達が海外マンガや、日本マンガの翻訳について無知だったかということ。

そこで少しでも知識を得ようと、先日「世界のマンガについてゆるーく考える会」に参加しました。そこでマンガ翻訳者の木村智子さんから声をかけていただき、いろいろ情報交換することができました。

その際、多くの日本マンガを翻訳出版しているVIZ Mediaの単行本は、最終ページに読み方向に関する注意書きと読み順を説明する図解を掲載していることを教えていただきました。

それはすごい! どうやって説明しているというのだろう、ぜひ実物を確認しなければと思っていたところ、会があった数日後、なんと木村さんがメールで、実際の画像を送ってくださいました。素晴らしい! それが以下のものです。

VIZ単行本注意書き

Go Ikeyamada, “So Cute It Hurts!!” VIZ Media LLC, 2015./池山田剛『小林が可愛いすぎてツライっ!!』

まず、図がよく出来ていますね。この図解によって、コマの読み順だけでなく吹き出しの読み順も左右逆転することが、一目瞭然でわかります。

それから英文も非常に興味深いものなので、ちょっと自分で訳してみました(下線引用者)。

This is the last page.

In keeping with the Japanese comic format, this book reads from right to left── so action, sound effect, and word balloons are completely reversed. This preserves the orientation of the original artwork── plus, it’s fun! Check out the diagram shown here to get the hang of things, and then turn to the other side of the book to get started!


これは最後のページです。

日本マンガ・フォーマットと同様この作品は右から左に読むので、動き、擬音の描き文字と吹き出しは完全に逆転します。これはオリジナル原稿の方向どおりで──プラス面白いことです! 正しい読み方を理解するために、この図をチェックしてください。そして、読み始めるために本の反対側に引き返してください!

ここでの注目点を挙げてみましょう。

  1. 左綴じの最初のページは、同時に右綴じの最終ページでもある点を、最大限度に利用した巧妙な企画意図
  2. 逆転現象の原因は、他ならぬ原典である日本マンガのフォーマットに由来することを強調
  3. 逆転の対象は「action, sound effect, and word balloons」、つまり人物の動き、擬音、吹き出しの3つに及ぶことを説明

1は、要するにこの注意書きの置かれている場所そのものに意味があるということです。2はこの現象が翻訳者にとってはどうしようもできない、逆に言えば(いささか意地悪な見方ですが)読者への弁解とも受け取れます。3は単にコマや吹き出しの読み順だけでなく、人物の動きそのものが逆転していることを明示することで、図解で説明し切れていない点を補足する意図とも考えられるでしょう。

いやはや、翻訳する側の苦労が偲ばれます……。

さらに先日、新宿南口の紀伊國屋書店に行き、「最終ページの注意書き」に注目して、いくつか面白い例を入手したのですが、その報告は、また稿を改めてお届けしようと思います。

以下、つづく!